畳表退色時の艶のある黄金色、また耐久性をイメージした時、昔あった在来種を要望される声が一部であります。そこで試験的な取り組みとなりますが、現在5名の生産者のご協力を頂き、在来品種「せとなみ」栽培を開始しました。
本田植え付けは15aと少ない面積になりますが、生育が順調にいけば畳表の生産は令和4年産として今秋入荷する予定です。今後、生育過程を報告していきたいと思います。
(元苗提供にご協力頂きました広島産地関係者の皆様にはお礼申し上げます)
「せとなみ」の特性
広島県で育成され、ひのみどりの父本となった品種。広島県で育成された他の在来品種に比べ茎長は長く、分げつも多く、特に105cm以上の長茎数が多い。生育型は分げつ型に属する。着花は極めて少なく、花序の大きさも他品種より小さい、茎の太さは中細種に属し、先枯れの程度も他品種とほぼ同じ。
■せとなみ生育報告
2月号でお知らせしました在来品種「せとなみ」の生育状況です。写真はひのみどり約30a、せとなみ約10aの圃場です。現在1株あたりの茎数は80本程となり、茎長も膝下40cm程となっています。い草の姿ではひのみどりは緑色が淡く真っ直ぐ伸び、せとなみは青みが濃く一回り大きく見えます。
この圃場の刈り取り時期は7月15日頃の予定で順調に生育中です。
4月18日 圃場Aの生育状況
4月25日 圃場Bの先刈り後
現地検討会報告
日時:5月2日(月)8:00〜10:00
参加生産者:8名
講師:森崎 様(熊本県農業普及所、い業研究所に勤務され、長年い草・畳表の高品質化や普及・指導に関わってこられました。幅広い知識で2月産地研修やせとなみ栽培にもご協力頂いています)
栽培指導に森崎様をお迎えして、8名の生産者の方々とせとなみの生育状況を見ながら意見交換する現地検討会を行いました。現在生育中の2ケ所の圃場と今季植え付けする畑苗の様子を見て廻り、最後に会社で質疑応答を行いました。
森崎様からは根を見た現在のい草の状態や、せとなみの品種特性、先刈り前後の肥料や水管理を指導頂き、また生産者それぞれの経験談などを含めて意見交換する事ができました。
5月28日 圃場Bの生育状況
6月11日 圃場Aの生育状況
6月11日 圃場Bの生育状況
7月6日
刈取り前の生育状況です。
圃場Aの生育状況
圃場Bの生育状況
7月8日
田圃Bでは第2回産地研修時に、せとなみの刈取りを行いました。
7月27日
森崎様と収穫したい草の1寸抜きを行いました。
1寸抜きの目的は先枯れ、根白、粒揃い、色合いを見ながら、抜き取ったい草を振り分け、長さ選別の目安とする事です。
・圃場Aのい草は、長い率が高く4尺(120cm)以上が6割以上抜き取れました。
・圃場Bのい草も長い率が高い傾向でした。4尺(120cm)以上で5割以上は抜き取れました。
・4尺3寸(130cm)以下からテレ(ヤケ)が少し見え、長さが短く、古芽の割合が多くなるほど目立つ傾向です。
7月29日
8月苗の植え付け風景。来年収穫分(約20a)を想定して、せとなみの苗を植え付けされました。
移植機の場合、本田栽培面積の15〜20%を植え付けします。
1寸抜きした原草を6段階に振り分けして、試験的な畳表を製織してみました。
・圃場Aの原草は染土の配合から少し白口の色合いで、長い率が高く、上物を織れた割合が多くなりました。
・圃場Bの原草は青みが強い色合いで、草丈は若干短かく、中級品クラスの原料割合が多くなりました。