生産者の声

国産い草を守る最前線に立つ人。
それは八代のい草農家さんです。

そんな農家さんの一人、上本さんご夫妻に「い草について」教えていただきました。

Q.い草の苗はどうやって育つのですか?
A.山苗、水田苗、本田苗と耕作場所を変えながら育てていきます。
山で育てた一次苗を、8月のお盆過ぎから水田に植えて二次苗として育てます。
そして成長した二次苗を11月頃から本田に植えて、刈り取り時期まで世話をしていきます。

Q.いと水稲の違いは何ですか?
A.い草は稲と違って肥料がすごく必要です。
苗の段階から数えると約13回肥料をまかなければなりません。
い草は手間がかかりますので、大規模化が難しく、い草の作付面積は平均1.5haぐらいです。

稲と違い、い草の栽培には手間が非常にかかります。
い草は繊細な植物なので、本田の周りに網を張り、成長とともに網の高さを変え、い草が折れる風害から守ります。こまめに本田の水の量を調節してい草の変色を防いだり、肥料を手で蒔いて回ったりと人の力がよいい草を育てます。

Q.機械でできる作業はありますか?
A.苗の植え付け機械は二種類あるのですが、い草農家の減少から、メーカーが撤退し、一種類は製造中止になりましたので、修理しながら大切に使っています。

Q.消費者に知って欲しいことは何ですか?
A.よいい草を作るには手間がかかることがあまり知られていないため、値段が安い外国産が出回り、国内産のシェアが減ってしまっています。身体に害がない品質のよい国産のい草を使った畳を選んで欲しいです。

Q.今困っていることは何ですか?
A.良いい草を作れば採算は取れるのですが、手仕事の作業が多く、大規模化できないので、後継者が減り、八代でのい草の作付面積も減少しています。

Q.いの栽培での特徴は?
A.八代のい草農家の多くはい草と米の連作を行っていますが、い草に肥料を施肥した水田では、肥料をまかずに米が育つぐらいい草には肥料が必要ですが、現在は緑肥などを使った輪作体系により土本来の力でい草が育つように努力し、減肥料栽培に心がけています。


これからも肥後物産のウェブサイトではい草農家さんの1年を追いかけながら、よく知られていないい草についての生産者の生の声を情報発信していく予定です。