畳店の声

今、お客様の「畳によせるニーズ」が変化しています。
多様な要望に畳のプロとしてどう応えているのかをインタビューしました。

Q.<インタビュアー>畳屋さんに来られるお客様から、まず聞かれることは何ですか?
A.<畳店「一畳屋」様>
一番お客様にとって身近なことが聞かれます。
例えば「カビがはえたらどうしたらいいのか?」、「畳の張替えで家具の移動はどうしたらいいのか?、頼んだら費用がその分いるのか?」、「大きな箪笥やピアノが家にあるから、張替えなんてだめなのか?」・・・お客様が”畳替えに関して不安に思う部分”を取り除いてやることもサービスに盛り込んでいます。
それと、畳表には値段の違いがあります。このことをお客様には(見本を見せるなどして)説明しています。値段で品質が変わることを説明して、お客様に納得した上でお買い求め頂いています。

Q.お客様はどんな方が多いですか?
A.一軒家の方が大半です。
注文枚数が多いので、値段もそれなりの金額になります。
その他は不動産・マンションさんなどですね。

Q.国産畳の占める割合は?
A.個人のお客様では7〜8割の方が国産を選ばれています。
残念ながら不動産、建設会社で9割が中国産といわれています。

Q.シックハウス対策などは何か行っていますか?
A.お客様によっては、そういった相談が時々あります。
い草を作る段階での残留農薬が多少ありますが、口に直接いれるものではないので、気にする必要はないと考えています。
ただ、どうしても説明が必要なお客様には説明してご理解いただいています。

Q.お客様に喜ばれる点は?
A.畳が新しくなった。新しい畳のいい匂いがする。などお喜びは様々です。
私共はお客様とのコミュニケーション(あいさつ、掃除、親切な応対)を大事にしています。「いい人に対応してもらった!」と感想を頂くこともあり、喜んで頂いてもらっていると思います。

Q.畳に望む素材は?
A.2006年、ISO14001を取得しました。
ただ現状として畳を作る際に使う「ヘリ・ホッチキス・ネジわら」等は加工品の為、土に戻せません。将来は環境を考えたリサイクル型の素材作りが必要になってくるのではと思いますので、そういったことにも少しづつ取り組んでいければいいと思います。

Q.畳床の素材はどういった割合でできてますか?
A.建材床は主にアパート、マンションで多く使われています。耐久年数は約20年です。
ワラ床は昔ながらのたたみ床です。正しく手入れをすれば耐久年数は約30年以上持ちますが、お手入れをしないとダニが発生したり、畳自体が波打ってしまう場合があります。
わらサンド床やシュロ、コルク、プラスチック床等の需要は少ないです。

Q.畳表を床材に取り付けるのに、昔はどうしていましたか?
A.針と糸で一本一本縫って作っていました。
今は糸も化学製品を使っています。いずれはリサイクルを考えた綿糸などに変更していければと思っています。

Q.生産農家さんに対する要望は?
A.減農薬などの問題はさほど気にすることでもなく、特別取り立てるものではありません。それよりも畳の需要がへり、畳業界の沈んだ雰囲気を、畳にたずさわる人みんなで盛り上げることが大事だと思います。

Q.畳についてお客様に考えて欲しいことはありますか?
A.畳で生活して欲しいですね。
現在は、畳の需要が減ってきているので、フローリングを主体にしている人たちにも「畳のよさ」を見直してもらいたいです。新しい家を建てるとき、「和室は1室だけでいい」という現状です。このことが畳本来の需要も減らしていると思うので、お客様への意識改革が必要だと思います。
フローリングにも畳は引けるんですよといった、「畳の新しい使い道」をさぐる工夫も必要ではないかと思います。

Q.家を設計するとき、設計士が敢えて「和室」を一つしか作ろうとしていないのではないでしょうか?その結果、畳がいらない家造りが増え、結果的に畳の需要が落ち込んでいるのでは?もしそうであれば、将来建築設計士になる学生さんには、畳の良さを再認識した家作りを考えられる人材を育てていく必要があるのではないでしょうか?
A.私もそう思います。お客様によっては、設計の段階や引渡しの段階で「もうひとつ和室(畳のある部屋)が欲しかった」というお客様はおられます。

Q.畳の営業はどうされてますか?
A.新規のお客様はチラシ、電話帳などがほとんどです。
弊社はリピーターさんも多いですね。
見本市とかの物産展には参加してませんが、「畳のコースター」などを作って、熊本の物産館には置かせてもらっています。

<インタビュアー>ありがとうございました。

<「一畳屋」様>ありがとうございました。

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