最近では、畳表にも抗菌処理をした物もあるようですが、どの様な物ですか?

畳表の抗菌処理には、食品用の防カビ剤とかヒバ・檜などの木材の抗菌エキスを主剤にした薬剤を使用して、畳表の表面に吹き付け散布したものが多いようです。食品衛生規準に合った物とか天然系の薬剤なのですぐに人体に影響する物ではないと思われますが、化学物質に過敏な人には何らかの影響が懸念されます。

 

ただ、次の点を留意していただきたいものです。

『消費者の清潔志向に対応して急増しているのが抗菌・除菌商品だ。雑菌(常在菌と呼ぶべきだろう)を取り除くことで、健康を維持しようとするものだが、その実体は、現代人の超潔癖症におもねる商品であって、なかには本当の意味で健康商品であるかどうかすら疑問のものもある。そもそも人間の体内には、一・五キロもの常在菌がいるとされ、それら細菌類との共生を図るのが、実は健康の「こつ」でもある。時に忌み嫌われる大腸菌も、人体に有用なものだ。ところが、現代人の超潔癖症にかかると、それらの菌は雑菌と呼ばれ絶滅の対象になる。O157が猛威をふるったことは記憶に新しい。本来は他の雑菌類と競争状態になると生存率が下がる弱い菌だ。しかし、発生源となった給食センターはある程度清潔にしなければならないために、常在菌を殺し、結果的に弱い菌に活躍の場を与えることになっている。』(1998年5月23日号 週刊ダイヤモンド 大ヒット「環境商品」は本当に地球に優しいか 東京大学国際・産学共同研究センター長・教授 安井 至)

 

新建材の普及にともなって起きて来ている化学物質過敏症いわゆるシックハウス症候群(1998年11月6日号 週刊ポスト あなたの住まいに潜む「環境ホルモン汚染グッズ」 久野勇と週刊ポスト特別取材班 を参照せよ)に対して、身近の化学物質を遠ざけるだけではなく、常在菌と上手くつきあうことによって人体の本来持っている復元力・抵抗力・免疫力などを増強すべきであるとの指摘が、現在されるようになっています。コマーシャルリズムにのってただやみくもに恐怖心をあおって清潔志向を助長するだけの商品であるかどうかを、厳密に判断することが必要でしょう。

しかし、生活する人の事情等によっては抗菌処理をした畳表を使用することも悪いこととはいえないので、よく検討して自分の健康に最も有益な製品をご利用ください。