天然の泥で染めます

備後染土
備後染土
淡路島染土
淡路島染土

染土には、備後染土(山の泥)と淡路島でとれる良質の天然粘土が使われています。備後染土はかつて広島でとれていましたが、現在は五島列島でとれているようです。

現在、熊本産はこの2つを半々にして泥染めされているのが主流です。

 

この染土で泥染をすることにより、いぐさの表面をコーティングし、均一に乾燥する手助けをしてくれます。また茎表面の葉緑素の酸化を防ぐ働きがあるので、新しい状態を長く保つことができます。

そして畳表の独特の香りも、この染土を使うことで生まれてくるものなのです。

泥染めの効果

 泥染めすると、太陽熱をよく吸収して、茎の温度が早く上がって乾燥が早くなります。

この乾燥の促進によって、酸化酵素が働かなくなり、葉緑素が分解されずに固定するため色彩が良くなります。

 また、粘土の被膜ができているので間接乾燥の状態になって、水分はまず粘土の粒子に吸収されてから蒸散するので、イグサの表皮の細胞が急激に萎縮しないし、乾燥が平均にすすんで変色しません。反対に、泥染めしないで乾燥すると乾燥が遅れるため、イグサが褐色に変色し目方も軽くなります。そのため、製織しても製品の商品価値はなくなってしまいます。


イグサ固有の色は、本来の色調と泥の粘土粒子の乱反射による色調との調和によるものです。 

その他、泥染めの効果としては、乾燥したイグサ茎の中の葉緑素が光によって分解されて変色するのを防ぐ役目もすることが考えられます。つまり、泥染めによって粘土の被膜ができて、光線の直射と葉緑素の分解に必要な酸素の供給が遮断されるためです。 

またコロイド粘土は乾燥後も水分を吸着する性質があるので、イグサ茎の乾きすぎや湿気の多いのを防ぎ、調節する役目もあります。 

泥染めした茎は、貯蔵中に化学作用によって畳表独特のかおりを持つようになります。