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肥後物産通信10月号「平成29年秋季産地研修報告(アンケートまとめ)」

 品評会の日に合わせて10月15(日)〜16日(月)に最高級品の見学と見分け方を中心とした研修会・講演会・展示会を行いました。その後、参加頂きました皆様からアンケートを頂きました。忙しい中にも記入頂きありがとうございました。

(以下は公開許可を頂いたものです)

 

<基本コース>

  • い草の詳しい、元芽〜1番〜9番の説明等は勉強になりました。福島様の営業方法等、真似できる所は高知で実践していきたいです。熊本表見本帳を使って営業していきたいです。(高知県 O畳店)
  •  初めて品評会の表、原草を見ることができました。今までそのクラスの表を比較しながら見れた事が良かったです。福島さんの話も面白く聞く事ができました。(兵庫県 H畳店)
  •  い草や畳表の話は大変ためになりました。途中で会場へ移動しての見学も、話を聞いてから実際に見るので頭に入りやすかったです。合わせて展示即売会でも見れたので良かったです。福島さんの話も大変勉強になりました。(東京都 H畳店)
  •  自分が思っていた以上の事が学べたので、とても良かったです。(熊本県 O畳店)
  •  前回等の復習も含め、福島さんのお話も聞けて良い勉強になりました。色々な畳表の展示も見る事ができて良かったです。(静岡県 S畳店)
  •  去年、基本コースを受講していたので、今回2回目の基本コースを受けて頭に入りやすかった。テキストに書き込んだ事など、持ち帰ってまとめて仕事に活かせるようにしたい。これから見積りの機会なども増えていくと思うので、お客様に理解してもらえるような説明の仕方、順序など考えていきたい。講演会では命令系統の一本化など、在庫を持つ理由やとても貴重なお話を聞いて、すごく勉強になりました。(香川県 Y畳店)
  •  他の畳屋さんの体験談などを聞けて良かった。い草の良い物の見分け方は、実物を触れるので分かりやすかった。(香川県 Y畳店)
  •  今までもやもやしてた所が納得できて良かったです。(兵庫県 H畳店)
  •  新たな発見ができました。明日からすぐには実行は無理だが、少しずつでも行動に移していこうと思います。ありがとうございました。(高知県 O畳店)
  •  写真や画像と照らし合わせながらの説明が大変わかりやすかったです。今まで2000円〜3000円の違いが選別の違いというのは知っていたものの、そこが具体的にどのように違うのかという事を理解できたので、自信を持ってお客様にも提案できるようになりました。(熊本県 T畳店)
  •  今回、肥後物産様の研修は初めてでしたが、今まで産地で聞いていた事がとても分かりやすくすっきりしました。また、息子と同年代の方々が多くいらっしゃったのが驚きでした。三次会まで盛り上がり、大変刺激を受けたらしく良い勉強になりました。ありがとうございました。(千葉県 K畳店)
  •  勉強会、講演会は満足しました。展示即売会は自分で畳表を仕入れたりしないので特に何も言うことはないです。(大分県 N畳店)

 


<応用コース>

  •  今回で5回目位になるのですが、来るたびにとても勉強になります。(東京都 O畳店)
  •  勉強会においては、皆様色々な話をされるので本筋から脱線するので、一部は勉強会、二部はディスカッションという感じに分けても良いのかと思いました。今回も沢山の事を学ばせて頂きありがとうございました。また参加させて下さい。(愛媛県 A畳店)
  •  勉強会は初めての応用コースでの参加でしたので、少し難しかったです。もう何回か受けたいと思いました。展示即売会は会いたいと思う農家さんと話ができるので毎回楽しみにしています。(東京都 K畳店)
  •  御世話になりました。肥後物産様のきめ細かい準備、対応等、大変御苦労されたと思います。同行した社員2人にとっても充実した研修になった様です。社員にとって若い同業者が沢山いるという事で励みに成った様ですので、又、次回参加させたいと思いますので、今後共よろしくお願いします。(大分県 N畳店)

(以下、1つのアンケートで「初日勉強会-講演会-展示会-他」と続きます)

 

◎初日勉強会(応用コース)

・ 勉強会の内容は非常に良かった。同業他社と意見交換のようなグループ討論会をしたのは生まれて初めてだったので大変感動しました。

 今までの同業他社との組合等の会合では、腹の探り合いなどしたりして言いたい事があっても本当に言わなければ業界の為にならないと思う事が言えない雰囲気で、何か先進的な意見を言うと批判・攻撃的な態度をされてきました。

 私は香川県の畳組合を15年位前に私の知らないうちに当時の役員達から除名処分されていました。今でも香川県の畳組合は私を嫌っているようです。昔からおとなしくして何でも言う事を聞き何もしない者を大事にする風潮があり、それでいて仲良し会をしています。

 みんな意見が違うのは当然な事である。私は思った事を議論して改革して良い業界にして行く事が大切だと考えています。伝統は守らなければならないが、悪しき伝統は排除して良い伝統は守っていく事で良い畳業界になります。 

 畳業界は日本の古来から伝わっている藺草畳表、稲藁畳床を残していかなければならない。畳は日本文化の根源であり、日本風土に良く合った伝統的な優れた敷物である。ダイケン・セキスイなど、藺草でない畳表を畳表と言うのは間違いであり、畳表の偽物である。全日本畳事業協同組合はこのような事は考えていないのではないかと思います。

 

 私は6年前にさぬき畳技能士会を設立し、技能士の育成の為に技能検定講習会・有職畳研修会・香川県庁1階ギャラリーで技能士作品展・高松市役所で子供ものづくり教室・技能フェスティバル等の各種イベントで小物販売・作品出展をし、その場所で手縫い作業での畳制作実演をして、日本文化の伝統的な畳をアピールしています。

 昨今では、機械でしか畳を制作できない畳業者ばかりが多く、畳を手作業での畳製作ができる畳業者は非常に少なくなり、「国産藺草畳表の上等品を上手く張り、縫い付ける事ができない」という事を耳にします。私は、それが上手く出来る職人を養成する事ができます。

上等品ほど機械ではできません。手間ひまをかけなければ上手くいかないようになっています。

 

 香川県・高松市等の行政機関は、さぬき畳技能士会の事は知って頂いていますが、畳組合の事は存在すら知りません。畳組合は私が何を相談しても文句は言っても何の協力もいたしません。来年は、香川県を通じて東京都が有楽町の国際フォーラムでイベントをするのに出展要請されました。それらを無償でする事で、地方の新聞・テレビの取材班が来て、無料で宣伝をしてもらえます。

 

 今私は、来年度、設立する認定職業訓練法人 (畳科初級コース)の準備をしています。一人でも多く畳職人を養成して、伝統的日本文化の畳を守っていこうと考えています。

◎講演会

 福島潤一郎先生は、私より3歳年が若いけれども、よく頑張っていると感心しました。あともう一つだけ話を聞きたかったけど聞けなかったのが、社会貢献にはどのような事に力を入れているのかと言う事です。私は今後の畳業界には、ボランティア活動等の公益事業を取り入れた商売も大切になってくると思うからです。

 

 福島先生の畳事業は一流である。無染土表の使用効果・商売のコツなどは苦労して良く勉強して行っている事が伝わって来ました。今までの畳業者は、自分だけが良かったら良い事で同業他社には商売の肝となる事は教えたりしませんでした。大変勉強になりました。

 

◎展示会

 展示会では、弊社の若い従業員に畳表を見させてどの表がどうなのかを良く考えて、購入させる訓練と研修ができました。

 たくさん並べてある畳表から弊社に合うものはどれかを時間をかけて考えさせ、自分達で畳に仕上げるのに、どのように工夫を凝らして客に満足してもらえるかを考えさせる絶好の機会でした。

 

 肥後物産様には失礼ですが、私が言い聞かせたのは、農林水産大臣賞を受賞した表を見せて、自分達の技能を発揮した仕事をしてそれに負けないように畳に仕上げる事ができる畳表を探すこと。

 なぜならば、私達畳技能士は畳の職人で専門的技術者でもあります。材料をどのようにして最高に仕上げる腕と勘を持ち合わせていないといけない。

 

 一流の料理人は市場に行き自分の目で確かめ、時期の物を安く仕入れ、素材を生かし最高の料理に仕上げている。「高価な素材を使いそれなりに仕上げるのは普通の職人、やる以上は一流になれ!」と私は若い者に教えている。値段の安い材料でも高く見せる事が出来る職人が一流です。若い従業員(職人)教育に今回の展示会はとても有意義であった。

 

 ◎他

 この度は松永社長様をはじめ肥後物産の方々には大変お世話になり誠にありがとうございました。

一つだけ物足らなかった事は、手織り畳表の作業をしていない事です。パフォーマンスでも良いので、機会があればやってもらえれば国産蘭草畳表を使った畳の需要促進につながっていくと考えています。

 私もこれから少しずつ微力ではありますが、国産蘭草畳表を使った日本文化である本物の伝統的な畳の促進に、精いっぱい努力を積み重ねていこうと思っています。地道な努力によって本物の畳は今後も日本の敷物として残っていき、また徐々に復活していきます。偽物の畳はそのうち床材かマットに吸収され消滅していくと思います。最後になりましたが、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(以上、香川県Y畳店様より)


◎弊社コメント

 皆様にはアンケートをご記入頂きありがとうございました。

そして帰社後にFAXで頂きました長文のアンケートには大変感動しました。帰社後にアンケートを書かれる事ですら誠実さを感じますが、学んだ事に対する謙虚さと、学ぶこと事への情熱の高さを感じました。またこの方は、店として3年連続で研修に参加され、昨年から若手も含め6名も派遣され、人を育てられる姿勢にはとても見習う点があります。

 

 応用コースでは品質の良いものが売れていく「仕組みづくり」をテーマとし、仕組みの基盤となる考え方が重要である事を紹介しています。一般的にはチラシやホームページ、特定の生産者の商品構成や商品の説明ツール、話し方、技術力など「目に見えるもの」で差別化を図られると思いますが、目に見えにくい「誠実さ、謙虚さ」や「情熱」が結果的にこの店の魅力や差別化となっているのかもしれません。

「人は目に見えているものは真実の10%程度しか見えていない。」と、鹿児島 最福寺 住職の池口恵観様の言葉にあるように、目に見えにくいこれらはとても重要と弊社では考えています。

 

 今回の帰社後に誠実なアンケートを返信される事は平凡な事かもしれませんが、なかなか真似出来ることではないように思います。

 誠実さ・謙虚さ、情熱を備えられている事が、価格の高い提案であっても施主から信頼され、熊本の最高級品を数多く扱われる実績の基盤となっているように感じた次第です。


今回の研修を終えて

 基本コースの目指す成果としては、実際に上から下のランクを見て頂き、施主様にとってお金を出す価値の違いが伝わるための知識の習得と位置づけています。

 応用コースはその知識を生かし、実際に価値の違いが伝わり結果的に品質の良いものが売れていく「仕組みづくり」です。

 

 施主様が商品を選ぶまでのプロセス(注意→興味→検索→比較→検討→購買→情報共有)の中で、基本コースで得た知識を直接生かすのは「見積もりのシーン」であろうと思います。これは購買プロセスの「比較・検討」にあたると思います。

 ここでの話し方の技術も磨くべきものの1つと思いますが、私たちが全国で営業する中で、品質の良いものが売れている店に共通するのは、話し方がうまいというより、その人 が持つ「誠実さや謙虚さ」そして「良いものを届けようとされる情熱の高さ」であるように感じます。更にその事を経営に生かすための「仕組み」がしっかりしているように思います。

 

 右上の図にあるように、集客から納品までの「業務の流れ(業務プロセス)」と、それを支える「経営基盤」のあり方を、参加者の皆様の様々な体験や違う視点からの考えを出し合い、あるべき仕組みの全体像を描いて自分の店に取り入れるものを整理する作業が応用コースの内容です。

 案内文が長くならないように簡素な内容で案内していましたが、このような具体的な内容を案内にもう少し盛り込むべきだったかもしれません。このように振り返る事が出来た事も、参加者の皆様からの率直なご意見でした。ここに感謝申し上げます。