品質に関してのQ&A

2017年のQ&A

Q:草の強さランキングでいうと涼風は一番強いですか?

 

A: 草の強さ・耐久性という事では、研修でも触れていますが、基本的には実入りが良く草に丸みがあるものが強いと思います。同じ実入りであれば茎の直径が大きいものがより強いでしょう。

そのため、一概にどの品種が一番強いとは言えないと思います。

 

 作り手によりますが、夕凪は表皮が硬いのですが実入りが早刈りのせいかあまりよくない傾向で、極端な例えですが、ストローみたいに周りは硬くても中身(灯芯)が薄ければ皮向けは早いと過去の事例より思います。一見、「表皮が硬いこと=耐久性あり」と思われがちですが、より灯芯の実入りを重視したほうがいいと思います。

 夕凪も涼風も早刈りの品種なので、一部を除きツヤのないものが多い傾向に思います。カサカサしている感じです。みどり草の早刈りはもっと耐久性は落ちると思います。

だからと言って夕凪が悪い、また、みどり草がどうこうというわけでなく、「この品種はすべて強い、弱いと一概に言えない」と思っています。

一方、遅刈の製品はツヤのあるものが多いです。ツヤと実入りは、ほぼ比例すると思います。

実入りが良い草は、草に丸みがあり、丸みがあるために光線がよく反射してツヤがあるように見えるのではないかと思います。

丸みのある草は、織り込んだ時に綺麗に並んで表皮の凹凸が少なく、一方、丸みのないものは、織り込んだ時に中の実が潰れて表皮の並びが凹凸になって、それでスレが早いのではないかと思われます。

 

 涼風は1年目の品種で耐久性はまだ分からない点がありますが、これまでの原則から言うと、同じ涼風でも実入りが良いツヤのある草は強いと思います。

他の品種との強さの比較は、「実入りが良く丸みがあり、更に直径が大きいものが強い」という原則の中でのバランスと思います。茎が細めのひのみどり草でも、実入りが良ければ茎が大きくて実入りの少ないものより強いと思います。そのバランスで見分ける事だと思います。

 

いずれにせよ耐久性については、畳店様からの情報が重要ですので、「こういうのを使ったらこうだった」という事例がありましたら是非教えてください。

2016年2月研修時のQ&A

Q1、床の間用の赤りゅうびん畳表は、どうやって作っているのでしょうか?

 

A1、基本的には、収穫したイグサを水洗いし天日乾燥を数回繰り返します。こうすると、い草が天然の太陽光で渋茶色や飴色になります。その後製織されます。

 

Q2、涼風について教えて下さい。

 

A2、特徴としては、茎の太さが平均1・3ミリと、ひのみどりの同1・15ミリと比べて太く、収穫量も2割程度増すという事です。

また、枯死率も試験栽培の結果、ひのみどりの12%から1%と大きく改善されたとの事です。

ひのみどりは、高品質の畳表が生産できる半面、苗床で枯れやすい。また茎が細く、畳表を作るのに時間がかかるなどの弱点がありますが、これらを改善した品種と位置づけられています。

◎原種:「ひのみどり」✕「沖縄太い」

◎経緯

平成8年から、17年の歳月をかけて開発されました。

熊本県はこの新品種を「蒸し暑い夏を畳で難なく乗り切る」「厳しい逆境をさらりと過ごせるように」という意味を込めて「涼風」と名付けられたようです。

(苗でみる品種の特性について)

 

Q3、い草の撥水加工について教えて下さい。

 

A3、健康的な素材を使っていると聞いていますが、申し訳ありませんが詳しい事は分かりません。

 

Q4、さらさ、さくら、さやかの五八と本間の違いを教えて下さい。

 

A4、使用されるい草の長さ、畳表重量の規格の違いがあります。

詳しい規格は下記をご覧ください。

http://www.higobussan.com/熊本産地概要/流通している品種について/

 

Q5、畳表の表面のシミを隠すパウダー等を作る事はできないでしょうか。当店の話ですが、裏返しの際、シミがある場合、染土をつけて見た目をキレイにしています。シミの色は茶色ではなく濃い青色でした。染土を着けたのですが、いまいちでした。人間のお化粧と同じように、複数の色のパウダーがあると助かります。

 

A5、申し訳ありませんが、弊社ではこの件は対応出来ていません。参考まで、織りたての畳表の場合、弊社ではほとんどの汚れは「ミョウバン」使用して取りますが、シミは燈芯に含まれた水分による変色のため有効な手段を持っていないのが現状です。

2015年7月研修時のQ&A

Q1、 農家さんによって一日の作業順が違いますが(例えば朝一刈り取りか、釜出しなど)その理由につい

        て教えてください。

 

A1、主な理由としては、非農家が近くにある農家では、い草の乾燥機の騒音で迷惑がかからないように、深夜の運転はしないような作業順となります。この場合、早朝に釜出し・釜入れをされ、AM5時にスイッチを入れると約15時間~16時間の乾燥で、PM21時~22時に乾燥終了です。

 また、設備(シャワー設備、一発染め、システム乾燥)や家族構成(2世代)によって、各農家での作業順の違いがあります。シャワー設備があるところでは日中刈りができるため、明るい時間にその日の収穫を済ませられます。2世代の農家では、息子さんご夫婦が収穫をされるなか、親父さんは泥染めをされるなど時間短縮ができます。

2015年2月研修時のQ&A

Q1、ひのさらさの退色の違いは良くわかりますが、中国、四川の三六も退色の良さがありますが、四川表の悪い所は?

 

A1、畳表の良し悪しについては産地はあまり関係なく、品質の見分け方のポイントは他産地の製品にもそのまま当てはまると思います。

 

Q2、使っている途中でい草の色が変わっている表がある。

 

A2、1枚の中で途中で色が変わっている事であれば、生産者によっては1枚の途中で製織をやめて、翌日にまた織り始めた時に、例えば前日が晴れて当日が雨などと天候が違う事で起こる事が考えられす。このような点でも優良生産者指定が増えており、同じように見えるランクであっても価格に開きが出ています。回答の詳細については 「2013年6~7月研修時のQ&A A3」をご覧ください。

 

Q3、ローラ型が表についていて光によって目立つ

 

A3、畳表製織時に発生するイ切れなどを手直しする際、ローラーや仕上げ包丁などで押さえつけた場合に発生します。「2013年10月研修時のQ&A Q6」でも同じようなご質問を頂きましたが、対策としては特定の生産者名を指定して計画的に仕入れるなど、流通経路を問屋さんを交え協議する必要があると思います。

2014年7月研修時のQ&A

Q1、経糸と品質の関連について

 

A1、平成4年頃までは、熊本では一部で麻綿Wが織られていましたが、ほとんどが縦糸は麻か綿の1本でした。当時、五八麻引の場合、麻1本で重量を22kg以上入れると織りの面がかえって悪くなる傾向でした。一方、縦糸が麻と綿の2本にすればスムーズに織られ、織りの面も綺麗に仕上がっていました。五八糸引の場合は18kgが上限で、これ以上だと縦糸を2本にしないと織りの面が悪くなる傾向でした。

  現在では、重量が軽いものまで縦糸が2本という状態となっていますが、織りの綺麗さという点では、ある一定以上の重量が入る場合に2本する事で、意味を成すと思います。重量が軽いものまで縦糸を2本にするのは、「2本の方が、かまちが割れない」とか、「2本の方が高級品として売りやすい」の声に応えている状態と思われます。経糸と品質の関連という事では、先に述べた通り、ある一定以上の重量が入る場合に2本する事で、意味を成すと思います。

 

Q2、新品種「すずかぜ」のサンプル表があれば見せてほしいです。

 

A2、大変申し訳ありませんが、これはまだ用意出来ません。

 

Q3、お客様への比較サンプルとして、い草の原草がほしいです(各品種)。できれば同じ農家さんの一番草であれば良いのですが。

 

A3、研修会で使用しています、1~5段階に選別した一握りサイズの選別い草5点(3500円、送料別)は、サンプル用として販売します。これでよければご利用ください。